数理科学コースへようこそ
数理科学とは、数学とその応用分野や数理統計学などを含む数学周辺の学術分野の総称です。Mathematical Sciencesと英語に訳すとよりイメージしやすいかと思います。
昔は数学科というと数学の教員になる以外の進路はないように言われていましたが、現在は全く状況が異なります。巷では、数理・データサイエンスなどのキーワードをよく耳にしますが、国が重点化を図っているこのキーワードの中にも「数理」という言葉が含まれています。数学や数理科学と聞くと役に立たなさそうなイメージを持つ方もいるかもしれませんが、多くの学問のベースとなる学問分野であり、現在はこの数理的な考え方に強い人材が求められています。
数理科学コースは4年前に県内初の数学・数理科学を専門とするコースとして立ち上がり先週一期生が卒業しました。入学当初は教員になりたいという学生が多かったのですが、卒業時には教員になる卒業生以外に、企業へと就職をする卒業生・役所に就職する卒業生・更に専門的な数学を学ぶため大学院に進む卒業生など様々な進路を選び巣立って行きました。数理科学の持つ潜在能力や適応能力はとても高いものです。
最後に受験生や高校生の皆様へのメッセージです。「どう役立つのか」を考えるのも重要なこととは思いますが、シンプルに「面白い」とか「好きだから」という気持ちで数理科学の世界に飛び込んでくれる人も歓迎します。授業の数学でもテレビやインターネットの中での数学や数理科学のお話でも構いません、少しでも数理科学に興味を持ったことがある人は、恥ずかしがらずその気持ちを大切にして下さい。絵や音楽に全く興味を持たない人がいるように、数理科学に全く興味をひかれない人もいます。そんな中、興味を持ったということはとても貴重で意味のあることかもしれません。「どう役立つのか」がわからなくて進路の決定を躊躇している方には、「どのように役立てるのか」と発想をかえてみたり、まずは数理科学の世界に飛び込んでみてから考えてみることはできないでしょうか。現況や環境から筋道立てて論理的に、今自分のすべき最適なことを探してみたり、自分の目的を達成するために必要なことやその方法と順番を見つける。これはまさしく数学で培う思考法の応用例の一つだと思います。また、入学生の保護者の皆様には、数理科学にご理解をいただき、入学生が論理的思考力を鍛え柔軟な考え方を育み成長する様を長い目で見守っていただきますようお力添えをお願い申し上げます。
皆様とお会いできる日を心待ちにしております。
令和3年4月1日 数理科学コース長 吉川周二