コース長より

数理科学コースへようこそ

数理科学コースがスタートして丸2年が過ぎました。私事で申し訳ないのですが,それ以前は工学部の学生に対してのみ,教えてきましたので,数学を学びに来る学生に教えるのは2年前が初体験でした。それまでは,「必要だとわかっているけれど,数学そのものには興味がない」といった感じの人がほとんどでしたが,2年前に入学してきた数理コースの学生は,自己紹介などで口々に数学に興味を持っているといった話をしていました。 それは,昨年や今年の入学生も同じような感じで大変喜ばしいことです。 しかし,2年たってみて改めて在学生の様子を見ていると,数学が好きでなくなっている人もいるのではと思われるようになってきました。確かに専門として学ぶ数学は高校数学に比べると格段に難易度が高くなっていて,それらを習得するのはかなり大変ですので,ある程度は仕方ないことなのかもしれませんが,どうもそれ以外にも原因があるように思われます。 彼らが好きだと思っている「数学」の側面とは別の一面をまだ好きになってもらっていないのかもしれません。

少し視点を変えて日本人全体の事を考えてみます。日本人は特に初等教育において数学的能力が高いといわれていたと記憶しています。 聞いたのはずいぶん前なのですが,今でも大方間違いではないようです。一方「日本人は論理的な思考に向かない」という意味の情報もちらほらとみることができます。数学は論理的な思考が必要不可欠な学問だと信じていますので,少し意外な感じがしたのですが,確かに日本人が優秀だと評価されているのは,かけ算の九九に始まる訓練のおかげで得た計算力が基礎になっているように思われますので,論理的な思考能力は別に考えないといけないのかもしれません。無責任な予測ですが,現在の日本人は計算はできるが,それを使いこなすための論理的思考力は必ずしも高くないということなのかもしれません。

今日,産業の世界ではコンピュータの台頭による第3次産業革命を経て,電脳の飛躍的な発展により第4次産業革命と呼ばれる時代になりつつあると言われています。この影響は,教育やスポーツなど様々な分野にわたって見られるようになっています。 社会では, 高度に発展した電脳の技術を使いこなすために,論理的な思考能力の高い人材が強く求められています。上に書いた無責任な予測が正しいかどうかは別として,論理的な思考により問題を解決していくという数学の側面を多くの人に理解してもらい,その側面を中心に据えて「数学」を好きになってもらいたいと願っています。 そしてこの「数学」に興味を持った若い人材が,理工学部という開いた視野での研究・教育体制の中で,すくすくと育ってほしいものだと思っております。 これから受験を目指す高校生,その高校生を見守る保護者,教育者の皆様,このホームページを足掛かりに,数学の事や我々の事を知っていただくとともに,ぜひともいろいろな形で我々に力を貸してください。

数理科学コース 令和元年度コース長  福田亮治